好きなものに囲まれて暮らす
ミッドセンチュリーをはじめとする名作が並ぶ空間に迎えられた、ソフトブラックのYチェア。時代やテイストの枠を超え、ご自身の直感でまとめ上げたこだわり溢れるお部屋です。
名作という理由以上に大切にした、今の暮らしへの馴染みやすさ。その親和性と、日々の中で実感されている使い心地をご紹介します。


那須の林を渡る冷たい風が木々の葉を落とすと、わが家の冬が始まる。
かつてのような雪は少なくなったけれど、凛と張り詰めた空気は、やはり冬だけのものだ。
部屋の奥まで差し込んでいた陽光がゆっくりと影を伸ばし始め、冷たい林の気配が家の中にまで忍び寄ってきたような気がして、時計を見る。夕食の支度よりまだずっと早い。
暖炉に火を入れ、ダイニングにあるYチェアを一脚、暖炉のそばへ引き寄せて腰を下ろす。
意識したことはなかったけれど、こんな動作が億劫ではないのは、Yチェアがとても軽いからなのだと思う。

子育てに追われていた頃は、椅子に座ることは「次の家事への準備」のような感覚だった。
ふたりきりの静かな家で過ごす今は、椅子に深く腰掛けて座るということが、何よりの贅沢に感じる。

開いていた本を閉じて、 少し思考を巡らせる。
やがてそれもやめて、ただパチパチとはぜる炎を眺め、窓の外に広がる木立に目を向ける。今朝は名残の雪が舞っていたから、森はいつにも増して静かだ。
木にとまった鳥たちが仲良く何かをついばんでいる。心なしか、枝先が少しほころんできたかもしれない。そういえば先日は立春だった。

アームに肘を預け、背もたれの曲線に身をゆだねると、知らず知らず強張っていた肩の力が抜け、自然と深い呼吸が戻ってくるのがわかる。
淹れたてのコーヒーを満たしたマグカップを、両手でそっと包み込む。
立ち上る湯気の向こう、指先から伝わる温かさが、冷えた身体と心をじんわり解いていく。

薪をくべるために立ち上がれる軽快さと、一度座れば、いつまでもそこにいたくなるような包容力。
ソファやラウンジチェアでは、きっとこのまま眠ってしまうから、Yチェアの程よいリラックス感が心地いい。
食事を楽しむものとして迎えた椅子だったけれど、こうして豊かな時間が増えたことをとても嬉しく思う。
使い方を決めつけない自由さが、これからの暮らしを、もっと軽やかに、豊かに広げてくれる気がしている。

【スタッフコメント】
Yチェアは食事だけでなく、ゆったりと過ごすのにも向いています。深く腰掛けたときは背中をサポートしてくれますし、座面に十分な横幅と奥行きがあるので、斜めに座ったりあぐらをかいたりと崩した体勢も取りやすい。座面のゆとりは、椅子で過ごすときのゆとりにもつながっているのかもしれません。またこのモデルケースでは、アームに肘を乗せればよりゆったりとした気分になること、アームがあることで程よく囲まれているような安心感もあるとお話ししてくださいました。
軽量で移動させやすいので、スペースに限りがある空間でも、ダイニングチェアとして、また一人掛けのパーソナルチェアとして、フレキシブルに活躍してくれるのも嬉しいですね。