
上から見ると美しいU字を描くアームは、椅子の構造として「笠木(かさぎ)」と呼ばれます。Yチェアの場合、角材を蒸気で柔らかくして曲げて乾燥させる「曲木」という技術で製造され、仕上げに丸棒状に削り出されます。
木の繊維を断ち切ることなく木材を曲げるため、見た目の軽やかさとは裏腹に驚くべき強度を持ちます。

CH24(通称:Yチェア)は、1950年にハンス J. ウェグナーによってデザインされ、デンマークの家具ブランド「カール・ハンセン&サン(CARL HANSEN & SØN)」によって現在も製造され続けている木製椅子です。
背もたれのY字型パーツに由来する愛称 "Yチェア" で親しまれ、北欧デザインを象徴する椅子として世界中で選ばれ続けています。

そんなYチェアですが、その佇まいの中には、木材への深い理解、人の身体に寄り添う構造、そして「日常で使われること」を前提とした思想が緻密に組み込まれています。完成度の高い名作でありながら、暮らしの背景として自然に溶け込む。それがYチェアの魅力と言えます。
このページでは、Yチェアのデザイナーであるハンス J. ウェグナーの考え方を起点に、Yチェアの構造やデザインの秘密、選べるバリエーションから暮らしの中で選ばれ続ける理由をご紹介します。
また、初めてYチェアを検討する方にも安心して選んでいただけるよう、よくあるご質問もあわせてまとめています。

CH24(Yチェア)を理解するうえで欠かせないのが、デザイナーであるハンス J. ウェグナーの思想です。彼にとって椅子とは、単なる造形物ではなく「人が毎日使い、身体を預けるための道具」。見た目の美しさだけでなく、座る・触れる・立ち上がるという一連の動作すべてが、自然であることが求められました。


ウェグナーは「椅子は人のために存在する」という明確な軸を持ち、紙の上のデザインよりも、実際に座ったときの感覚を何より重視しました。
装飾を重ねるのではなく、必要な要素だけを残し、形を削ぎ落としていく。その徹底した姿勢が、時代や流行に左右されない普遍的な椅子を生み出す原動力となっています。

1914年、デンマークの町トゥナーに生まれたハンス J. ウェグナーは、靴職人の父のもとで育ち、14歳で家具職人の修業に入ります。若くして木材と向き合う日々を過ごした経験は、素材の癖や強度、触感を身体で理解する基礎となりました。
その後、コペンハーゲンの芸術工芸学校で学び、職人としての感覚とデザイン教育を融合。「形・機能・快適さは切り離せない」という考えを軸に、数多くの椅子を生み出していきます。生涯で500脚以上の椅子を手がけた彼は、やがて"マスター・オブ・ザ・チェア"と称される存在となりました。


Yチェアに見られる有機的なラインや無駄のない構造は、人の身体と木という素材に真摯に向き合う中から導き出された「必然のかたち」です。
カール・ハンセン&サンとの協働によって、その思想は高度な職人技術と結びつき、実用性を突き詰めた結果としての構造美を備えた一脚が誕生しました。細部にまで息づくハンスJ.ウェグナーの哲学は、時代や国を越えて支持され続けるYチェアの本質そのものです。

Yチェアの原点には、中国・明代の椅子があります。背から肘へと連続する有機的なラインは、装飾ではなく「人の身体を自然に受け止めるための構造」でした。
ウェグナーはその思想を現代の生活に置き換え、余分な要素を削ぎ落としながら再構築します。こうして生まれたYチェアは、歴史への敬意と合理性が共存する、極めて完成度の高い椅子となりました。





ご紹介したYチェアを構成するアームや背のY字パーツ、フレーム、ペーパーコード。それらはすべて、椅子としての完成度を高めるために必然的に選ばれた形です。
しかし、Yチェアの本当の完成は、食卓で腰を掛ける、椅子を引く、立ち上がるなど、日常の何気ないシーンの中で使われ続けることで完成します。美しい構造は「機能」となり、やがて暮らしに溶け込む「デザイン」に変わっていきます。

実際に座るとまず感じるのは、身体を受け止めてくれる安心感。座面には十分な横幅と奥行きがあり、まっすぐ腰掛けるだけでなく、少し身を崩したり、あぐらを描くような座り方も自然に受け止めてくれます。
それでも窮屈さを感じにくいのは、背もたれから肘置きまでが一体となった、Yチェアならではのアーム構造があるからです。


食事の時間にはダイニングチェアとして、食後にはそのままラウンジチェアのようにくつろぐ。置く場所を選ばず、座るときも構えすぎない。「正しく座る」よりも「自然に身体を預ける」ことが、Yチェアにとっていちばん心地よい使い方なのかもしれません。

また、日常で使い続ける上で意外と大切なのが扱いやすさ。Yチェアの重さは約4.5kgと、木製チェアの中では比較的軽量です。椅子の出し入れや、掃除の際にさっと持ち上げるときも負担が少なく、毎日の暮らしの動線に自然と馴染みます。
左:新品/右:6年使用(どちらもビーチのソープ仕上げ)
使うほどにペーパーコードは身体に馴染み、木部には少しずつ表情が生まれていく。Yチェアは、完成されたプロダクトでありながら、日常の中で使われることで、暮らしの一部として育っていく椅子です。

ダイニング、リビング、書斎。空間やスタイルによって見え方が変わるのも、Yチェアの魅力のひとつ。特集ページでは、実際の暮らしの中でYチェアがどのようにコーディネートされているのか、具体的なシーンとともにご紹介していきます。

Yチェアは完成されたデザインであると同時に、使う人の暮らしとともに表情を深めていく椅子でもあります。その移り変わる佇まいは、仕上げと素材の組み合わせで大きく変わり、明るく軽やかにも、重厚で落ち着いた印象にも。
Yチェアの素材選びは、「どんな椅子を買うか」ではなく、どんな時間を重ねていきたいかを考えることから始まります。ここでは、Yチェアで選べる素材それぞれの特徴をご紹介します。こちらで掲載しているYチェアは全て開梱したばかりの新品で撮影を行っております。

Yチェアでは同じ木種でも仕上げが2種類からお選びいただけます。選ぶ仕上げによって経年変化も大きく変わるので、購入前に必ず押さえておきたいポイント。選べる仕上げは「ソープフィニッシュ(ソープ仕上げ)」と「オイルフィニッシュ(オイル仕上げ)」。仕上げの違いは見た目の色味だけでなく、お手入れ方法にも違いがあります。

無塗装の状態のYチェアを石鹸で洗い、石鹸の油分をまとったもの。オイルに比べ、白くさらりとした印象。石鹸で洗うことで、手垢や日焼けなども軽減します。
※ウォールナットではソープフィニッシュはお選びいただけません。

オイルを染み込ませコーティングさせる仕上げ。ソープに比べオイルの染み込みにより色が濃くなります。 経年変化も加わると飴色に近い色になるため、暖かく優しい雰囲気になります。
左:ソープフィニッシュ/右:オイルフィニッシュ
ビーチ(ブナ)は、北欧家具の歴史においてもっとも身近な木材のひとつです。緻密で均一な木肌は加工性に優れ、曲木や精度の高いフレームづくりに適しているため、Yチェアのような繊細な構造を正確にかたちにする素材として選ばれてきました。明るくやわらかな色味は空間を軽やかに見せ、北欧らしい自然光ともよく調和します。


使うほどに穏やかな表情を増していきます。主張しすぎず、家族の時間や日常の風景を受け止めてくれる存在。初めてYチェアを選ぶ方や、長く気負わず使いたい方、北欧家具の“原点”に近い佇まいを求める方におすすめです。
左:ソープフィニッシュ/右:オイルフィニッシュ
オークは、耐久性と重厚感を備えた、北欧家具を象徴する木材です。はっきりとした木目と硬さが特徴で、Yチェアに用いることで構造の安定感と視覚的な存在感が際立ちます。ダイニングの中心に置いたとき、空間を引き締める軸として機能するのもオークならではです。


使い込むほどに木目の陰影がより豊かに現れていきます。年月とともに"家具として育つ"感覚を味わえる素材で、住まいと一緒に時間を重ねたい方、無垢材らしい表情を楽しみたい方に向いています。長く使う前提で、一脚をしっかり選びたい方にふさわしい素材です。

ウォールナットは、深みのある濃色と流れるような木目が魅力の高級材です。北欧家具においては、空間に落ち着きと陰影を与える素材として用いられてきました。Yチェアに採用すると、軽やかなフォルムに重心の低い美しさが加わり、より大人びた印象を演出します。


経年変化によって色味はわずかに明るさを増し、艶を帯びた表情へと変わっていきます。空間に静かに溶け込みながら、確かな個性を主張する素材。モダンなインテリアや、色数を抑えた空間を好む方、家具に落ち着いた存在感を求める方におすすめです。
Yチェアは無垢材を使用しているため、木本来の特性として色味や木目に個体差が出たり木目の節が見られます。
カール・ハンセン&サンでは、FSC認証を受けた管理された森林の木材を使用し、限られた資源を無駄なく活かすため、色の濃淡による選別は行っていません。節なども構造や強度に影響のないものとしてメーカー良品とされています。

ソフトカラーは、環境に優しい水性塗料を施し木目を隠すことで"色"そのものが楽しめる仕様です。北欧では、家具を"空間を構成する色"として捉える文化があり、それはYチェアにおいても同じ考え方です。Yチェアの造形美を際立たせながら、空間のアクセントとしての役割を果たします。


使い込むことで、エッジや触れる部分にわずかな変化が現れ、無垢材ならではの表情が浮かび上がってきます。モノトーンやヴィンテージ要素のある空間、インテリアのアクセントとしてYチェアを取り入れたい方に最適。色で個性を語りたい方に向けた、現代的な北欧の選択肢です。

vanillaはカール・ハンセン&サン(CARL HANSEN & SON)の正規販売店です。取扱う商品は全て正規品となりますので安心してお買い求めください。オフィシャルパートナーショップとしてメーカーと密な連携の元、サービスを提供致します。Yチェアには5年保証が付きます(構造5年、ペーパーコード1年)

カール・ハンセン&サンのYチェアはデンマークで作られます。お取り寄せの場合、半年のお時間がかかることも珍しくありませんが、vanillaでは定番の仕様は在庫をご用意しております。

不定期で開催されるメーカーキャンペーンはもちろん、vanilla独自の購入特典をご用意しております。詳しくは各商品ページでご紹介しております。(予告なく終了となる場合がございます)
インテリアの中でも照明は必要な明るさや取り付ける位置・置く場所など、専門的な知識が求められる場合が多いです。vanillaではカール・ハンセン&サンの正規販売店として、多くのお問い合わせにお答えしております。こちらではよくあるご質問をピックアップしました。
A:当店ではYチェアを「在庫あり」と「予約」の2種類でご案内しております。ご注文内容によりお届けまでの期間が異なります。
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■在庫ありの場合
当店に在庫がございます。最短で翌営業日の出荷が可能です。
■予約の場合
ご注文後にメーカーへ手配いたします。国内在庫がある場合は約2週間程度、受注生産品の場合は5〜6ヶ月ほどお時間をいただく場合がございます。
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なお、当店入荷予定分を優先的にご案内できる場合もございます。お急ぎの場合はお気軽にお問い合わせください。
※生産状況やメーカー欠品により、納期が前後する場合がございます。
A:Yチェアのフレームは無垢材でできているため、湿度や設置環境の違いによってわずかな伸縮が起こります。この自然な変化により、ごく軽微なガタつきが生じる場合があります。デンマークと日本の気候差や、室内でも空調の風・日当たりなどの条件が影響することもあります。

また4本脚の椅子は、座ることで脚がわずかに開き安定する構造です。Yチェアは脚先が細く接地面が小さいため、床のわずかな凹凸や傾きでもガタつきを感じやすい傾向がありますが、当店付属のフェルトで軽減が可能です。
なお、浮いている脚が約3mm以上ある場合は初期不良の可能性があるためご連絡ください。確認時は床ではなく平らな天板上でのチェックをおすすめします。

A.Yチェアは製造工程の最終段階で、床への設置状態を確認しながらガタつきの微調整(レベル調整)を行います。そのため、脚裏にわずかに削った跡が残る場合があります。
デンマークでは土足での使用が前提のため、削り調整後に再塗装などの仕上げは行われません。これは不備ではなく、実際の使用環境を想定して一脚ずつ調整された証でもあります。安心してお使いください。

A:Yチェアの座面は、100mの長さを超えるペーパーコードを職人が手作業で編み上げています。編み込みの途中では、張力を保つために金具でコードを固定しながら作業を進める工程があります。
その際に表面繊維がわずかに毛羽立つ(ささくれのように見える)ことがありますが、素材構造や強度には影響はなく、使用上の問題はありません。手仕事ならではの個体差のひとつとしてご理解ください。
A.Yチェアはすべて正規ルートで輸入されたカール・ハンセン&サンの正規品ですのでご安心ください。
Yチェアはデンマーク本国から2脚1梱包で輸送される仕様となっております。
当店では入荷時に全て検品を行い、1脚用の無地の梱包に入れ替えをしてお届けしていますが、本国からの入荷時の箱でお届けとなる場合もございます。
事前のご指定などはお受けすることができませんので、予めご了承くださいますようお願いいたします。