ピエール・ポランが1950年代に手掛けた「F031 デスク」。1960年以降の彫刻的なデザインとは異なり、機能性を追求したシンプルなスタイルが特徴的です。落ち着いた色合いは様々なインテリアに調和し、個人宅での使用はもちろんのこと、SOHOでの使用やショップのカウンターデスクとしても合わせやすいデスクです。
このデスクは2003年にボビーワゴンの製造で知られるビーラインの正規輸入代理店であるメトロクス社が製造及び販売権を取得したいわば復刻版で、元はピエール・ポランが1950年代に曲木の家具で有名なフランスのトーネット社から発表したデスクです。トーネット社からは「CM141」という商品名で販売され、1956年より約10年間という短い期間のみ製造されていました。ポラン自らがデザインを持ち込み、製品化を実現したのは後にも先にもこのデスクだけだったとか。
ピエール・ポランのデザインとして一般的に知られているのは、1960年代以降に手掛けたリボンチェア、タンチェアといった有機的なフォルムのプロダクトですが、このデスクは直線を基調としたシンプルで機能性を追及したフォルムに結実しています。「オフィス用としてではなく、個人が使うためのものとしてデザインした」ことにより、ヨーロッパの平均的なデスクのサイズよりもコンパクトで、「プチビューロ(小さめのデスク)」という呼び名もあったようです。
また、天板、引き出し、脚部はそれぞれ異なる素材で構成されていて、素材使いの配慮や細部のディティールへのこだわりが随所に見られます。
アーロンチェア リマスタード、ボビーワゴンと。アーロンチェアのデザイナーであるドン・チャドウィックはイームズに影響を受けており、国もデザイナーも異なるこの3つのプロダクトは根幹で「ミッドセンチュリー」に関わっていると言えるでしょう。