アーロンチェアがハイテクならば、アルミナムグループチェアはローテクと言えるでしょう。
エルゴノミクス(人間工学)も無ければ高さの調整もリクライニングも硬さも地道に手で回すマニュアル仕様。
だからこそ美しいとも言えるデザインに仕上がっています。オフィスチェアの原点と呼ばれるアルミナムは今もなお、その普遍性の高さで人気を博しています。
このリアルレザーの表情とアルミという異素材との組み合せ、他に類を見ない美しい曲線。価値ある逸品と言えるでしょう。
ミッドセンチュリーに誕生した椅子の革命
エーロ・サーリネンから、自身が設計した実業家のJ.アーウィン・ミラー邸に「屋外用の上質な椅子が欲しい」と依頼されてチャールズ&レイ・イームズがデザインしたのがアルミナムチェアです。
堅牢なアルミダイキャストのシートフレームに合成繊維のメッシュ素材をぴんと張ったチェアは、硬いシェルという従来の椅子のコンセプトを脱却しました。
1958年、ハーマンミラーは屋内用のアルミナムグループチェアの製造を開始。当初のメッシュ仕様に代えてファブリック、ビニールレザー、またはリアルレザー張りとなり、約5cm間隔でリブが施された外観はすっきりと洗練されたデザインとなっています。
当初、ステッチ加工で縫い合わされていたレザーは現在、圧着するウェルダー加工に進化しより耐久性を増しています。
クロムなめしから植物タンニンなめしへ
皮から革にすることを鞣し(なめし)と言います。世界中で使われているインテリア用革の殆どはクロムなめしですが、公害などの問題からクロム規制は世界的な動きとなっています。
常に環境への配慮を考えるハーマンミラーもクロムを使わずに植物タンニンなめし(クロムフリー)に変更。ややマットな仕上がりになっています。
使い込めば十分な味わいを出す柔らかいレザーに仕上がっております。
以降の作品にも影響を与えたベースのデザイン
見覚えのあるベースデザインはタイムライフチェアやイームズソファーにも採用されています。一般的なベースとどう違うのかを見てみると些細なことの積み重ねであることがわかります。
作品に対する美意識の高さが長く愛されるイームズデザインの特徴と言えるでしょう。
今でも職人が一脚ずつ手作り
2012年の工場見学にて撮影。
アルミナムチェアは一脚一脚手作りされています。
単純な流れ作業ではなく1人の職人が多くの作業を担当し、時には2人がかりで作業するシーンもあります。組立てる前のパーツ単体の美しさにも目を奪われるアイテムです。
手でしっかりと感じるマニュアル操作
シートとベースを繋ぐ軸のパーツを手で回すことで高さ調整を行います。
ネジ山の露出具合で細かい高さ調整が可能です。
ガス圧昇降機能のようなワンタッチではありませんが、この旧式の機械操作のようなところがアルミナムの魅力のひとつと言えるでしょう。
シート下の横軸にあるハンドルを回すことでリクライニングの硬さを調整することができます。
アーロンチェアのような人間工学を駆使した動きではなく、シートと背もたれが一体のため同時に動きます。
心地よい硬さに調整してくみてください。
自分で育てるヴィンテージ
シェルチェアをはじめイームズアイテムには多くのヴィンテージが存在しています。
アルミナムチェアもその1つ。
オーナーの体に合わせて適度にのびたレザーは手の微量な油分を吸収し長い時間衣服で自然に磨かれ何とも言えないツヤを持っています。
長年の乾燥でビビ割れやキズが多いのも現状です。
新品のハーマンミラープロダクトには自分でヴィンテージのように育てる楽しさがあります。
ジーンズが自分の体に合わせて伸縮し色落ちするように。
ミッドセンチュリー時代から今もなお現代の環境に合わせて進化し続けているプロダクトはそう多くはありません。アルミナムチェアはその数少ないひとつです。
10年後のヴィンテージを目指し所有し始めることは、以後のライフスタイルを素晴らしい時間にしてくれることでしょう。
もちろん、本家ハーマンミラー社製という価値観をおすすめいたします。
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