イームズチェア オリジナルとレプリカ徹底比較2016 | インテリアショップvanilla

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ比較

オリジナルとリプロダクト比較ウッドベース編

以前にもvanillaではハーマンミラー社の作る「オリジナルとレプリカ(リプロダクト)」との比較を行いました。
今もレプリカは増え続け、価格帯も大きく変わり、レプリカだけでも様々な種類が市場にはあふれています。そこで今回2016年版、オリジナルとレプリカの比較を行いました。

今回の比較に使用したもの

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ 価格差

今回で言えば3,000円台半ばのものと、7,000円前後のレプリカを比較に使用しました。
たしかにオリジナルに比べると安さは魅力に思えます。しかし、その値段の理由はこれから下を読んでいただければ分かります。


梱包、組み立て

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ 梱包サイズ
左からレプリカA、レプリカB、オリジナルの梱包。レプリカAは組み立てのため箱が他2つに比べて半分ほどのサイズとなっています。オリジナルの梱包はレプリカBより背が高くなっているため、より商品自体に配送時の負荷がかかる事を防いでいます。

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ オリジナルの梱包

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ レプリカAの梱包

イームズ設計 レッグスプリント

オリジナルの梱包では座面(シェル)部分と脚部の間にダンボールの固定材が挟み込まれています。
レプリカの梱包もA、Bともにしっかりしていましたが、ダンボールがオリジナルに比べ柔らかい物が使われてたこと、商品本体の周りのスペースに余裕が無い事などが気になりました。


サイズ

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ サイズ比較1

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ サイズ比較2
オリジナルに比べ、レプリカBは大きく、レプリカAがやや小振りという結果に。
※座面高は一番高い部分で測定した結果です。
同じ角度、位置で撮影をしましたが、レプリカは座面の角度がオリジナルに比べ、やや上向きになっているように見えました。


精度

イームズシェルチェア オリジナルとレプリカ サイズ比較1
シェルを正面から見た際、オリジナルのエッジ部分が自然な曲線を描いているのに対し、レプリカはややいびつさが目立ちました。

イームズシェルチェア レプリカAのエッジ
レプリカAの背もたれのエッジ。成型時に発生するバリのカット痕と思われますが、表面に凹凸が目立ちます。

イームズシェルチェア レプリカBのエッジ
レプリカBの背もたれのエッジ。レプリカAに比べるとキレイには見えますが、カットした部分が面になってしまっています。

イームズシェルチェア オリジナルのエッジ
そしてオリジナル。他2種類とも同じ角度で撮影していますが、バリのカット痕は見受けられません。滑らかな曲線に仕上げられています。整型の技術までは真似できないという本物の価値の証拠になります。


シェル表面、素材

イームズシェルチェア オリジナル表面
オリジナル。素材にはポリプロピレンが使用されており、表面には凹凸が付けられマットな質感が特徴となっています。

イームズシェルチェア レプリカA表面
レプリカAはオリジナルと同じポリプロピレン製ですが、オリジナルに比べ表面の凹凸の仕上げは浅く、あまり特徴がない印象です。

イームズシェルチェア レプリカB表面
レプリカBの素材にはABSが使用されていました。表面の凹凸の具合は確かオリジナルに近いものの、表面には仕上げ剤によるものなのか塗膜が形成されていたため、少し「つるつる」しており、表面にも光沢がみえました。


エンボス(刻印)

イームズシェルチェア エンボス比較(オリジナル)

イームズシェルチェア エンボス比較(レプリカ)
オリジナルは販売元のハーマンミラーとイームズオフィスのロゴ、デザイナー名『Charles & Ray Eames』の表記が。レプリカAには脚を組み付ける関係からかFRONTの表記が。レプリカBには何も記載されていませんでした。


接合部

イームズシェルチェア マウント比較(オリジナル)

イームズシェルチェア マウント比較(レプリカ)
ベースとシェル本体を接続するマウント部はオリジナルに比べ、レプリカは径が小さく、目立つ突起です。A、Bともに取り外しや締め直しの必要性からかボルトには普通の六角穴タイプの物が使われていました。


ベース、木部

イームズシェルチェア ベースウッド比較
今回一番印象が異なったベース部分。木部はレプリカ2種にはビーチ材、オリジナルにはメープル材が使用されており、レプリカの方が色味が濃くなっています。固定に使用されていたネジの形は全て異なっており、レプリカ2種は六角、オリジナルにはプラスが用いられていました。木の開口部の仕上げはレプリカはやや粗雑な印象を受けました。

イームズシェルチェア グライズ比較
接地面となるグライズ。レプリカ2種はオリジナルに比べて固定用ネジの径が大きいうえに、接地面から浅い位置にネジの頭があり、さらに接地面の仕上げも粗いものでした。グライズもオリジナルより柔らかい素材を使っているのか、長く使った際にネジが露出し、床を傷つけてしまうのでは?という不安を感じました。


vanilla的結論

今回の検証の結果、精度に関してはやはりオリジナルが群を抜いている事がわかりました。組み立て式であることや、ネジの締め直しが前提という事もあるのでしょうが、レプリカは耐久性や安定性ではオリジナルに比べるとやや不安感を覚えました。
(といってもオリジナルとは値段が大きく異なりますので、値段相応の仕様と言えるかもしれません。)
対してオリジナルは精度、安定性ともに納得のクオリティで、
さらにメーカーの5年保証付きと、値段に見合ったアフターサービスが付いています。

今回の検証結果を理解された上で、どちらを保有されるかは個人の自由ですが、いずれにせよ、当店としては後悔の無い選択をされる事を望みます。
例えば、ご家族・ご友人に誤摩化さずに堂々とレプリカを買ったと言える方は、それはそれで一貫した良い選択だと思います。
しかしレプリカという事を誤摩化したり、後になって「やっぱりオリジナルにしておけば良かった」と思う心配があるならば、オリジナルを購入されることをおすすめします。
イームズ シェルチェアだけに限った話ではありませんが、良いモノを長く使うという事は素晴らしい事だと私たちは考えています。
実際、現在ヴィンテージとして販売されているイームズシェルチェアだって、冷静に考えると50年以上前の椅子が愛され続けているんですから。

長く使うには、まず愛着を持てるモノであること。
イームズシェルチェアを10数年販売をして来たインテリアショップとしては、自分自身に合ったベストな選択をされる事をおすすめします。

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