スタンダードSP(Standard SP) | インテリアショップvanilla
バックシャン
最近ファッション誌で目にする英語の"back(バック)"と、美しいという意味のドイツ語"schoen(シャン)"を組み合わせた「バックシャン(美しい後姿)」という言葉。実は昭和初期から存在した言葉だそうですが、今は若干ニュアンスを変えて使われているとのこと。言葉やファッションは時代に合わせて変化して、再流行するものなのだと実感させられます。
そんな中、スタンダードチェアも当時とは違う新しいモデルが作られているところを見ると、家具も時代に合わせたアプローチがされるということは、再流行が訪れるということでは?
そう感じたわけで、この21世紀の新しいスタンダードチェア「SP」をご紹介しようと思ったのです。
マンガとポップス
1934年に、当時大学用の椅子として生まれたスタンダードチェア。
歴史的名作がゆえ、語らずもがなという感じもしますが実は日本ではあまり一般的に普及をしていないプロダクトでもあります。一番の特長は何と言っても後ろから見た時の細い線で描いたような、あたかもマンガ的にも見えるすらっとした脚と天板のコンビネーション、ぐるっと横に回ると座面を圧倒する太い脚のポップさが目に飛び込んできます。前の顔と横の顔、それはもう別の椅子と言っても良いくらいの2面性を持ったふたつのフォルムが一脚を織りなしています。
本家超え?
スタンダードチェアの魅力のもうひとつは、「色」。80年の歳月を経てとても多くのカラーバリエーションが発売されてきました。既に廃盤になっているものも合わせると、組み合わせは数え切れない程あり、コレクター泣かせと言われています。
そこにこのスタンダードSPです。2022年にカラーラインナップがリニューアル、フレーム部分もスタンダードチェアと共通になることで、より取り入れやすくなりました。
色で遊ぶ
ディープブラックのシートにディープブラックのベースを選択した真っ黒なモデル。空間を引き締めたり、他の差し色をより引き立たせています。
スチールレッグの構造美学
スタンダードチェアは、比較的負担の軽い前脚は細いスチールパイプ仕様。
後脚は、より大きい負担を支えるため、大きなパイプで製作されています。幅広に設計された三角形により、人がもたれかかってもうまく力を逃がし、快適に座れるために生まれた必要最小限なフォルムが、快適な座り心地が実現させています。構造上負荷のかかりやすい部分に耐久性と安全性を考慮した設計を施し、この構造美学を示すスチールレッグがプルーヴェを象徴するデザインともいえる。幅広に設計された三角形の後脚とシンプルなスチールの前脚が計算され尽くした構造により、スタイリッシュで無駄のない魅力的なデザインとなっている。
シンプルな構造ながらも、座るとしっかりとサポートされているような感覚のため、負担の掛からない楽な姿勢を保て、長時間座っても疲れないのもこの椅子の特徴です。
ジャン・プルーヴェ
ジャン・プルーヴェは、ル・コルビュジエら同時代を生きた芸術家たちの賞賛を集め、ノーマン・フォスターやレンゾ・ピアノら戦後の芸術家にも影響を与えたデザイナー/建築家。1901年、フランス・パリに生まれたジャン・プルーヴェは、アール・ヌーヴォの一派であるナンシー派を率いたヴィクトール・プルーヴェを父に持ち、1916年金工職人のエミール・ロベール元での修行を経て1923年に独立、そのキャリアをスタート。 30歳で工房アトリエ・ジャン・プルーヴェを設立、やがて家具デザインから建築デザインまで活躍の場を広げる。 工業化を推し進めたジャン・プルーヴェの工房は、またたく間に300人もの工員を抱える工場へと拡大していきますが、作家はデザインだけでなく生産や施工のプロセスも重視し、常に製造現場に寄り添ったものづくりをしました。